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「一銭のお湯」

今日もグラボのミーティングだった。蒲田の仮事務所で新しい仕事の依頼を受けるかどうかの話し合いや企画書の製作などをしていた。

落ち着いたところで風呂へ行こうという話になる。ネットで調べて、「はすぬま温泉」という銭湯に決めた。


銭湯でのんびり話をしているとき、壁に描かれている滝の絵のスケールの大きさに驚いた。壁面に描かれた滝の絵の色彩や描き方からは目を惹きつけるものを感じた。


風呂を上がり、玄関先の小スペースで番台のおばさんに壁面の絵の話を聞いた。なんでもあの絵は壁に直接書くペンキ絵ではなく、タイルに絵付けをし焼くタイル絵らしく、世界に1枚しかない自慢のものなのだそうだ。

話が大いに盛り上がってくると、おばさんが銭湯の主であるおじさんを呼んでくれた。社長と呼ばれてみなから親しまれるおじさんはとても気のよさそうで、かつ芯のしっかりしていそうな方だった。


社長は風呂屋の息子として生まれたが、風呂屋に興味はなく、大学を出た後は公務員として就職した。しかし自分の生き方に公務員は合っていないと考え、父親の跡を継いだのそうだ。

社長は「大学で学んだことは何一つ無駄ではなかった」という。

その後は銭湯に関して学びを続け、江戸時代から銭湯はあること、一銭で湯を浴びれるという意味から銭湯という名になったこと、昔は風呂に入るときは「いただきます」と言っていたことなどを教えてくれた。

昔はそこら中にあった銭湯もなくなってきているという。しかし、はすぬま温泉は人の集いの場として大いににぎわっていた。途中、近所の有名ラーメン店の店主が話に入ってきたり、最後に風呂から出た女性たちが何気なく店じまいの片づけを手伝っていたりする。風呂に入らずにただ話をしにくる人も多いらしい。ここのコミュニティーは本当に居心地が良い。


適当に選んだ銭湯で、素敵な生き方をしている方に出会った。町の小さな銭湯にすら、尊敬に値する人物はいるものだ。

「ここには30トンの水が貯められている。災害時には消火に使用したりみんなの飲み水にしたりする。」と語る社長は、ソーシャルアントレプレナーと呼ぶにふさわしい人物だった。

はすぬま温泉
http://park.zero.ad.jp/~zbd13703/

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2006年11月21日 01:42に投稿されたエントリーのページです。

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